
インスピレーションはどこから生まれるのか?
ふと心が震える瞬間。思いがけず「これだ」と感じるその感覚は、どこからやってくるのだろう。
ドラム/パーカッション奏者であり、ジャンルを超えて音楽を愛し、時には弾き語りにも挑戦する――そんな“バンちゃん”こと坂東邦明さん。
幼少期から楽器に親しみ、さまざまな現場やセッションを経て、「イメージを形にする」というテーマを追いかけ続けてきた彼に、インスピレーションの源や、表現者としての日々を聞いた。
そのすべてを「インスピレーション」をキーワードに深く掘り下げていく。
ー名前
坂東邦明,Bando Kuniaki,Bang
ー職業/肩書き
Drummer&Percussionist
ー活動ジャンル
音楽
ー拠点・活動エリア
音楽で表現活動をしており、拠点は国内どこでも活動しています。ドラムの大会は日本国内では少なく、アジア大会や世界大会等に出場しています。
ー活動歴
幼少期よりスネア、小中でドラム、高校でパーカッションを開始。
本格的な活動は、高校時代にバンド「DDT」「JUGED BUG CIRCLE」で音を出し始めたことから。ちなみに、当時ギターを担当していたのが、このサイトのインスピレーションマーケット運営者の竹林さんです。
ーどんなきっかけで始めたか
幼稚園でスネアを叩いたのが最初。ドラムは友達のお父さんが教えてくれました。パーカッションは宮田誠さんと先輩との御縁で出会い、ドラムをやりたいならパーカッションをやると良いよと聞き、始めました。
ー代表的な活動/印象的な出来事
Drum-Off 2021日本代表、Hong Kong International Drummer Festival優秀賞受賞
多彩なバンドやアーティストの作品にドラム&パーカッションで参加
ー制作のテーマ、探っていること、最近気になっているもの
イメージを形に表す事、ドラムアプローチやリズム、メロディ楽器への興味
ーSNS・Web・関連リンク
Instagram: https://www.instagram.com/bandokuniaki/?hl=ja
Bandcamp: https://banmusic4.bandcamp.com/album/2025-instrumental-mini-album
Facebook: https://www.facebook.com/share/19d71XYTSx/
ー本・音楽・映画・人・言葉など、あなたに影響を与えたもの
「感謝」
表現者としてのフィールド
——まずは簡単に自己紹介をお願いします。
坂東邦明です。ドラマー/パーカッショニストとして活動しています。
——現在の主戦場をひと言で表すなら?
Drum Setの前、Percussionの前にいる時で、直接楽器を触る時ですね。
——この半年で“これは象徴的だった”と感じる出演や共演はありますか?
実は、どのライブやセッションにも必ずひとつは特別な瞬間があると思っています。だから“これ!”と決めるのは難しいくらい、どれも大切です。
——ドラムを選んだ決定的な体験、覚えていますか?
小さい頃、初めてドラムセットに座った瞬間、“これだ!”って思ったんです。その感覚が今も原点になっています。
インスピレーションが生まれるとき
——「インスピレーション」とは?どんな時に感じますか?
スタジオでドラムに座っている時もそうだけど、1人でいる時や皆といる時、良い意味で空っぽになった時に、急に“これだ!”とアイディアが出てくることが多いですね。
——インスピレーションが湧かない日はどうしますか?
“執着しない”ことを心がけています。出ない日は出ない。リセットして、違うことをしているうちに、ふとまた降りてきます。
世界観を形にする音の対話
自作曲を流しながらドラムを叩き、独自の世界観を築き上げる演奏シーン
リズムのルーツと現在地
——最初に叩いた打楽器や、影響を受けた音楽について教えてください。
最初に触れたのはスネアドラム。幼稚園の頃にマーチングの音楽に参加していたのが原体験ですね。マーチングの響きやリズムは今も自分の中に残っていると思います。
——“ジャンル”分けについて
自分の中ではジャンル分けは形式であり、どんなジャンルにも“命”や“イマジネーション”が込められていると感じます。ロックもブラジル音楽も、いいものはいい。
——日本ロック最前線の現場で得た視点は?
自分の参加させてもらった作品が100万人以上の人の手に届くという事をありがたい事に経験させていただき、Artistの凄さや奇跡、そういった現実もあるという事を学び、音楽にはそういった可能性があるという事をふまえて、1回1回を大事にして、後悔なくプレイ、演奏をする事が大事だと思っています。
そして、御縁は大事で、大変貴重な経験をさせていただき、感謝しています。
——世界のドラマーからどのような刺激を受けていますか?
有名・無名を問わず、世界には怪物のようなドラマーがいます。普通では考えられないようなレベルで演奏している人も多いですし、腕がなくても足がなくても叩いている方もいて、そういう姿には本当に驚かされます。
世界大会など楽器には、アプローチやスタイルも人それぞれで、皆それぞれの人生が楽器を通して表れている。楽器へのモチベーションが上がるプレイヤーは尊敬しますし、そういう現場に触れる度に、勉強になると共に、自分も精進しなくてはと思わされます。
ドラムソロで見せる圧倒的な存在感
自作曲とドラムが会話するように響き合い、唯一無二の表現が生まれる。
インスピレーションが形になる瞬間
——ドラムパターンを生み出す“着火点”はどんな時ですか?
イメージしたフレーズを実際音にした時に、撮ったり聴いたりして、フレーズの構築や基礎からの発展などをして、これでいこうと感じる事があります。
——即興演奏でテンションが一気に上がる“合図”は?
皆の音を聴き合いながら演奏を楽しんでいる時。聴いてくれた人から“良かった”って言われたり、自分でも後から聴き返して“やって良かった”と思える瞬間が、充実感になります。
——お気に入りのフレーズが生まれた瞬間やエピソードは?
オリジナルのサンバのドラミングフレーズがそうですね。自分のドラムへの挑戦や“転化”を繰り返しながら、みんなに楽しんでもらいたいという気持ちで作った。骨身に染みつけていく過程も含めて、大切な経験です。
——リズムの“ひらめき”がまったく湧かない日はどうしますか?
一度“執着”を手放します

リズムで歌う ― ボサノヴァ弾き語り期
——ドラム/パーカッション奏者が、なぜボサノヴァ弾き語りにも挑戦したのでしょう?
Corcovadoというオリジナル楽曲をやるボサノヴァバンドでパーカッションを叩かせてもらい、その時に宮田誠さんからブラジル音楽の魅力を色々教えてもらったことが大きいです。音楽の世界には沢山の魅力があるのだなという好奇心が自然に湧きました。
——“歌う側”に立ってみて、どんな発見がありましたか?
“やってみて分かる”ことの方が多かった。本場ブラジルでもチャレンジするつもりで歌ってみたら、“ポルトガル語、ちゃんと伝わってるよ”と現地の方に言ってもらえて、すごく嬉しかった。ボサノヴァも歌・メロディ・コードも含めて音楽全部が好きです
——その経験は、今のプレイや音楽観にどう影響していますか?
楽曲をひとつの“作品”として全体で捉えるようになりました。リズムだけでなく、メロディや歌も含めて、“音楽そのもの”をまるごと感じるようになった気がします。
——もしまた弾き語りをやるなら、どんな形に?
愛や命のある事が形になっているのがいいですね。

身体表現との共鳴(ダンス/ヨガ)
——ダンスやヨガの現場に参加することになった経緯は?
きっかけは20代の頃ですね。群青君――今はタップダンサーとして活躍してるんですが、当時は日本人でBreakDanceの世界チャンピオンにもなったすごい友人と出会ったのが始まりです。
そこから、House Danceのステップを日本に持って来られた第一人者のKojiさん、世界チャンピオンにもなったPINOさん、チームメイトのYan-Cさん、Sembaさん、Kenjiさん、Mits君――本当にカッコいい仲間たちと“Ring”というチームを組ませてもらって、一緒に活動していました。
さらに、ZooのSatsukiさんと出会わせてもらって、Sessionさせてもらったり、いろんなダンサーと現場でご一緒できたことがすごく貴重な経験になりました。
ヨガに関しては、代々木公園で開催されたAkikoさん主宰の「SSDW(Shibuya Street Dance Week)」というイベントで、佐藤ゴウ君(ヨガインストラクター)とヨガ×パーカッションのセッションをしたのがとても印象的でした。
こうした出会いとセッションの積み重ねが、自分の表現をどんどん広げてくれたと思っています。
——ダンス現場で最初に求められたビートや、形にしたプロセスは?
“オフビートを感じるGroove”が踊りやすいGroove、勝手に身体が動き出すGrooveだと思っていて。DrumもPercussionも、現場でそれがバッチリ合うときは本当に楽しい。世界大会で扱うような細かい音符のアプローチは、主にドラムソロの時に出すようにしています。
——ヨガクラスで選ぶBPMや音色、その意図は?
House DanceならBPM123、これはジャストテンポが心地良いから。
ヨガの時はBPMよりもDjembeやCongaなどアフリカ系の“皮物”の楽器から出る音からイマジネーションを感じてもらえたらと思って選んでいます。
——こうした現場で得た“想定外の気づき”は?
ダンサーやヨギーたち、それぞれのフィールドで大事にしていることを知るたび、自分も刺激をもらいます。
職種が違っても大事にするポイントは似ていたりして、セッションを通じて“全体がひとつになる”楽しさも感じました。
たとえば、現場でダンサーが怪我をしてしまった時、ビートを止めるか続けるか自分の中で判断を迫られた事も。ドラムは演目中はGrooveは絶対に止まってはならないというのがあったので叩き続けましたが、それが果たして正しい判断だったかを問う時はあります。
チームメイトは大丈夫だと言ってくれていたので安心はしていますが、毎回が勉強だな、と今でも思います。
リズムで魅せるパーカッション
多彩に叩き分けながら、リズムで空気を変えていく
これからのチャレンジ
——読者にぜひ体験してほしい、直近のライブやイベントを教えてください。
8月23日、元住吉の住吉神社にて18時30分〜奉納演芸。10分〜15分、20分ほど、近所の尊敬する仲間と演奏させてもらいます。
8/24 Alawodudu 大阪万博 アフリカン・パーカッションを軸に活動する Alawodudu のメンバーとして出演。Coruja さんと共演します。
11月15日、深夜にClub Cittaで開催される“ONEDANCE”では、DanceやBe bopを日本に広めたGOTOさん主宰のライブでドラムを叩きます。
11月22日は代々木公園で開催される“SSDW”にて、Dr&Perで出演します。
それぞれ出演者の熱いパフォーマンスを、ぜひ現場で感じてほしいです。
——今、挑戦したいことは?
今やっている楽器を、さらに昇華させて届けていきたいです。
——この一年で必ず形にしたい目標は?
Drummingアプローチの“新たな発見”や“チャレンジ”をしていきたいですね。
もっと坂東邦明を知る
https://inspiration-market.com/market/banchan
メッセージ
——音楽やアート、クリエイティブ好きの読者にメッセージをお願いします。
今は世の中が大きな転換期で、苦しんでいる人も多い時代だと思います。
それでも、みんなの人生が充実したものでありますように、より国民に優しい社会になるよう願っています。
——これから届けたい“サウンドや表現”を一言で表すと?
“命”

編集後記:
坂東さんの言葉や歩みからは、音楽や表現を超えて“生きることそのもの”へのまなざしを感じました。
ジャンルや肩書きに縛られず、すべての場面で「今ここ」に響くものを大事にする姿勢。
“執着を取る”“命を込める”――ばんちゃんが音楽や現場で大切にしているこの姿勢は、インスピレーション・マーケットが目指す「心に響く出会い」とも深く共鳴します。
彼のような感覚を持つ人がこのサイトに現れることで、読者や他のクリエイターにも新たな視点や勇気が生まれるはずです。
読者のみなさんにも、このインタビューからそれぞれの「響き」や「気づき」が生まれますように。
インスピレーションは、きっとあなたのそばに転がっているはずだから。
バンちゃんの“自由さ”と“素直さ”。
「イメージを形にする」ことを日々楽しみ、
出会いも音楽もジャンルも、何もかも“ひらめき”の糧にしている。
理屈よりも、まずは感じてみる。やってみて、響いたものを大事にする。
坂東さんの生き方は、インスピレーションと共にある豊かさを教えてくれました。
読者のみなさんも、日常の中の“非日常”や、自分だけのインスピレーションを大切にしてみてほしい。